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この言い方では、まるで太一が犯人のようであるが、太一はそう受け取られても良かった。
自分が責任をとることで、銀杏先生の気持ちを少しでも楽にしたいと、太一は思っていた。
(俺は、他のどの生徒よりも、銀杏先生のことなら責任を負える)
先生とは、もう以前のように接してくれなくなるかもしれない。
何をしても、悪く解釈されるかもしれない。
それでも、太一はそれを覚悟で言った。
みんな、ざわざわと何か言い始めた。「でも伊藤は、先生と仲良くなかった?」と、いぶかしがる生徒も
いたり、甘沢さんも、伊藤くんが犯人にしては打ちひしがれる様子もなく、むしろ堂々として
いて、前向きでかっこよく見えるのが不思議だった。
例の2人のうち、1人が、
「伊藤は、この前もガラスを割っておいて、大して反省してないしな。あんまりしゃべんないから、
何か隠してそうだと思ったんだよな」
「いや、太一じゃないよ。」
しんと静かになった。
「太一は、そんなことができる奴じゃない。」
はじめて会ったときと同じ、透き通った優しい声だった。
「先生、証拠は。」誰かが聞いた。
「なくてもわかるよ。」
「でも先生、」と、例の2人のうち1人が、
「もし、伊藤が本当に先生を裏切って、この花をこんな風にした犯人で、ひどい奴だったらどうするんですか。」
「そのときは、俺が傷ついて悲しめばいいよ。なあ、太一。」
太一は、肩から何かが持ち上がって、目の前の人たちも、こちらに向けてくれた銀杏先生の微笑んだ顔も、水面のように揺れた。
後から、後から持ち上がってくる。
太一の足元には、先生の好きなオオイヌノフグリの花が、風に揺られて咲いていた。
おわり