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「銀杏先生…」ひとりの女子生徒が、職員室にいる銀杏先生に、申し訳なさそうに声をかけた。
その生徒は、銀杏先生の授業を受けており、他に3人、課外授業を受けている女子がついてきている。
先生は、その生徒から、自分の親が校長先生に伝えたことを話した。
先生は(そういえば、校長先生はそんなこと仰らなかったな…)と思っていた。
正直言って、銀杏先生は、そこまで思いつかなかった。
しかし、親がそう思うなら、その気持ちを尊重しようと思った。
(俺も軽率だったかな…)
「先生、ごめんなさい…」と、その生徒は、まるで自分が悪いように先生に謝っている。
「ん、大丈夫、気にしないで、先生は授業ができればそれで嬉しい。教室でできるようになったし」
「でもなんか、銀杏先生が疑われているみたいで嫌だな…」と、その生徒は、少し不機嫌そうに言った。
「ありがとう。生徒の信頼があれば、先生は、疑われても本望」
「本望って、それで教職追われたら大変ですよ」
「あ、そうか。…保護者の方の信頼を得られるように、がんばるよ。」
ハハハ、と先生と生徒4人は笑った。
でも先生は、教職の仕事より、女子生徒達の気持ちのほうが、ずっと大事だった。
そこは保護本能の強い人だったせいかもしれない。
「でも俺は、いつでも安心なんだけど」
「そりゃ先生は安心でしょう。」生徒の1人が言う。
「うちらも、そういうことは全然考えなかったね」もう一人が言う。
「うん、むしろ大丈夫すぎると思っていた」3人目の生徒も同意する。
「先生って、なんで安心できるんですか?」と、4人目の生徒が、銀杏先生に聞いている。
先生は、笑っている。
それは、人間として安心できる、愛情深い笑顔で、そこにいる、授業を受けている女子生徒4人も
自然と優しい目になっていった。本当に、不思議な先生だと思った。
そこへ、例の2人が入ってきた。
「先生、伊藤が、先生の植えた花を荒らしました。」
その頃、太一は夕暮れの雲に目を移していた。
太一がびっくりするほど、綺麗な雲と夕暮れの色あいだった。こんな景色を見たのは、何年ぶりだろう。
先生が、この景色はいいねえと言っていたことを思い出し、ああ、あの言葉は、本当だったんだ、と太一は思った。
つづく